
「大阪万博が閉幕した今、これからの大阪の物件価格はどのように動くのでしょうか。夢洲の再開発や街づくりの進展は、皆さまの住まい選びにどのような影響を与えるのか、不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。本記事では、万博閉幕後の都市計画や中古マンション価格の動向、再開発計画と地価の見通し、購入時に確認すべきポイントまで、分かりやすく解説します。大阪で物件購入をお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
万博閉幕後の都市計画と今後のまちづくりの方向性
大阪・関西万博が閉幕した後、会場跡地となった夢洲(大阪市此花区)は、新たな都市像を描く舞台となっています。まず、大阪府・大阪市は夢洲第2期区域について、マスタープラン(Ver.1.0案)を策定し、2件の優秀民間提案をもとに、2025年度後半から開発事業者の公募を開始する方針です。このプランでは、「国際観光拠点」を目指すまちづくり構想が継承されており、住む人にも魅力ある街の実現を掲げています。
さらに、大阪市は万博会場跡地のうち夢洲2期区域の北東部について、象徴的な「大屋根リング」(グランドリング)の一部約200メートルを原型のまま、屋上へ登れる形で保存する方向で調整しており、2025年夏頃の正式策定をめざしています。これに合わせて、開発事業者の募集は年度後半からスタートする予定です。
こうした都市計画の背景には、単なる観光地としてではなく、住まいや働く場としても機能する「国際観光拠点」の形成を追求する意図があります。スマートシティの要素を取り入れ、インフラ整備やエコ技術、居住性を両立させる設計の導入が想定されており、未来志向かつ住む人の生活に配慮したまちづくりが志向されています。
以下はマスタープラン策定の進捗と開発方向の概要を整理した表です。
| 項目 | 概要 | 現状・時期 |
|---|---|---|
| マスタープラン Ver.1.0 | 第2期区域のまちづくり方針(国際観光拠点化、住む人視点) | 2025年2月策定、パブリックコメント実施中 |
| 大屋根リング保存 | 約200mを登れる形で部分保存し、記念施設とする | 検討中、2025年夏正式策定予定 |
| 開発事業者募集 | 民間提案や資金力を重視し募集開始 | 2025年度後半から実施予定 |
:中古マンション価格のこれまでの推移と万博による影響
ここでは、大阪・関西万博の開催決定から閉幕前までにかけての中古マンション価格の動きと、特定区ごとの傾向について、信頼できるデータに基づいてわかりやすくまとめています。
まず、大阪市内の中古マンション価格全体では、万博開催決定時(2018年11月)の約2167万円から、2025年8月には約2690万円へと、約1.3倍の上昇となりました。これは大阪市全体の約1.7倍、中心6区における約2.5倍の上昇に比べると穏やかです。
以下の表は、万博周辺エリアの特定区における価格推移の概要です。
| 区名 | 2018年11月の価格 | 2025年8月の価格 | 上昇率 |
|---|---|---|---|
| 港区 | 約2238万円 | 約3469万円 | 約155% |
| 住之江区 | 約1833万円 | 約2379万円 | 約130% |
| 此花区 | 約2370万円 | 約2821万円 | 約119% |
※大正区も2018年11月の約1621万円から2025年8月の約1867万円へ、約115%の上昇が見られました。
これらの数字から、特に港区での上昇が顕著であることがわかります。港区では、夢洲を通る大阪メトロ中央線のアクセス整備や弁天町駅周辺の改修などが進められており、これらが価格上昇に影響を与えていると考えられます。
また、大阪湾岸エリアは中心部と比較すると価格自体が抑えられているため、初めて物件を購入する方や手頃さを重視される方にとっては、魅力的な選択肢といえます。中心6区の平均相場と比較すると、半分以下の水準で購入できることが多く、費用面の負担が軽い点が大きなアピール要素です。
万博後の再開発計画と地価への期待とリスク
大阪・関西万博が閉幕したあと、夢洲ではIR(統合型リゾート)、高層ビル、交通インフラ整備などが段階的に進められています。IRは約49ヘクタールの土地に開業され、カジノ、国際会議場、大型ホテル、エンターテイメント施設などを含み、2030年秋の開業を目指しています。これにより年間2000万人規模の来訪者と大きな経済効果が期待されています。
地価の上昇は開発前提の条件が前提です。IR開業やJRやメトロの延伸など交通改善、アクセス向上が地価上昇を支える重要な要素です。すでに2025年には夢洲周辺で坪単価約83万円(㎡あたり約25万円、前年比+22.1%)と顕著な上昇がみられています。
一方でリスクも看過できません。建築資材や人件費の高騰により開発費は当初見込みを上回り、IR整備費は1兆2700億円から1兆5130億円程度に増額され、追加負担や資金調達の課題があります。また、鉄道延伸やインフラ整備には追加費用が発生しており、交通インフラ整備の遅延や費用膨張、需要の想定割れなどが地価の伸びを抑える要因となる可能性もあります。
| 要素 | 期待される効果 | 想定されるリスク |
|---|---|---|
| 統合型リゾート(IR) | 年間2000万人規模の来訪者・雇用創出・経済活性化 | 開発費増大・依存症対策・需要と収益見通しの不確実性 |
| 交通インフラ整備 | アクセス改善による地価・居住需要の向上 | 鉄道延伸の巨額費用・計画遅延・採算構造の課題 |
| その他開発(高層ビル・商業ゾーン等) | 生活利便性・住環境の質向上による地価支援 | 物価高・資材高騰・開発スケジュールの遅れ |
このように、開発進行が計画通り進めば地価は上昇する期待がありますが、費用増や需要低迷、交通インフラの未整備などが地価上昇のブレーキになるリスクもあります。購入を検討される方は、これらの期待とリスクを総合的に見極めることが重要です。
購入検討者がチェックすべき指標と判断ポイント
大阪・関西万博の開催と閉幕を受けて、物件購入を検討する際には、以下のような実需に支えられた指標をしっかり見極めることが重要です。
| 指標 | 注目点 | 理由 |
|---|---|---|
| 交通整備の進捗 | 夢洲駅や鉄道延伸、アクセス改善 | 交通の利便性向上が長期的に地価を支える要素になります。 |
| 公示地価・地価動向 | 大阪市・此花区などの地価変動率 | 住宅地や商業地の上昇率を確認することで、地価の強さや波及性がわかります。 |
| 来訪者数・雇用増 | IRや再開発による雇用・来訪者の増加傾向 | 人の流れの増加は住環境の将来性や需要を裏付けます。 |
上表の指標を確認すると、たとえば交通面では大阪メトロ中央線の夢洲駅開業や、万博後の鉄道延伸構想が注目されます。これらは将来にわたって住みやすさや資産価値を下支えする基盤となります。
地価については、住宅地と商業地の公示地価が大阪市全体で2025年にそれぞれ2.3%、7.6%上昇しているのに対し、此花区も5.57%の上昇を記録しており、湾岸エリアにも価格上昇の波が及びつつあることが読み取れます。
ただし、価格の上昇期待だけに振り回されず、日々の暮らしやすさと資金計画をしっかり見据えることが大切です。交通や買い物の利便、教育・医療などの生活インフラ、管理費・修繕積立金といったコストを含めた収支も検討しましょう。
購入のタイミングについては、再開発が進行する前に割安で購入するか、一定の整備が進んで市場が安定してから購入するか、という選択肢があります。一般的には、整備された後の価値上昇を見越す選択が資産価値の観点から有利ですが、資金状況やライフプランと照らし合わせて判断することが何より重要です。
まとめ
大阪万博の閉幕に伴い、夢洲をはじめとする地域の再開発や都市づくりが新たな段階へと進みます。これまで中古マンション価格は万博開催の期待から上昇し、特に港区や此花区などで顕著な変動が見られました。今後は統合型リゾートや交通インフラの整備といった予定が地価に影響を与える一方で、費用高騰や需要変化といった不確定要素もあるため、慎重な判断が求められます。地価や再開発の動向だけでなく、日常生活の利便性や資金計画にも目を向け、ご自身の暮らしに最適なタイミングでの購入を検討することが重要です。
